こんにちは。
前の投稿で書いた通り本当はCEFRについて勉強してそれについて記事を書くつもりだったのですが、結局のところ中国語ばかりやっていてとうとう中検2級合格にこじ付けられたので、ついでに去年受けた3級についても含めて書いていこうと思います。
ところでメタ的な情報ですが、なんとこんな需要のあまりない試験対策などを細々と記してきた当ブログが最近20000アクセスを達成しました。ブログとしては多いんだか少ないんだか、どちらかというと少ないような数字ですが如何にも誰も見なさそうなサイトとしてはまずまずだし、自分にとってはむしろ驚きです。特に独検関連のページへのダイレクトアクセスが4分の1を占めています。参考になっているといいです。
さて対策の話の前に当方の中国語学習歴ですが、まず何も勉強したことがない状態で大学の第二外国語の授業として週2回中国語を1年とった後、同じ年度の3月(第85回)に中検3級を受け合格しました。その後は1年間一切中国語には手を付けず、前回の投稿の通りドイツ語の試験に合格した後にまたやり始め、今年の6月(第89回)に2級に合格しました。ちなみにHSK等、他の中国語の検定試験には手を出していません。
中検は仏検・独検などと同様に英検を意識したような形をとっていますが、各級の合格率は他の試験と比べて結構低めです。4級は第二外国語としての1年間、3級はその2年間の学習に相当するレベルというのは変わりありませんが、合格率はそれぞれ5割前後、3割~4割となっている上に合格基準点と共に回によってかなり変動し、特に2級以上のレベルではこれが顕著です。但し1級はかなり安定して5%未満という程の難易度で、「中検は準1級が事実上のゴール」というのが一般的認識になっているようです。確かに合格率だけ見れば英検1級や仏検1級が大したことないかのように見えてきてしまいます。
中検を受けようと思ったのは大学の第二外国語の授業が終わった後で、本来ならば4級を受けるのが妥当でしたが、結局背伸びして3級を目指すこととしました。もはや授業でどこまでやったかははっきり覚えてませんが、難しくても処置文・様態補語“得”・離合詞・連動文・比較文をやったくらいで方向補語や結果補語、ましてや複文などは扱わなかったと思います。
無論これでは単語数も文法の範囲も足りないので、3級を受けるにあたっては努力を要すること必至でした。そこで用いた単語帳が『頻出順 中国語1500単語(国際語学社)』です。中検3級と旧HSK基礎レベルの単語を収録していて「3000の例文すべてを、掲載1500語だけで作成」と謳っているのですが、これに関しては嘘です。ちらほら掲載されていない単語が散見されます。またこれは当時気づかなかったのですが、中検3級の単語数は公式に1000語から2000語ということになっているのでてっきり準4級・4級の範囲の単語も収録しているのだと思っていたらそうでもないみたいです。例えば“唱歌”,”打扫“,”起床“,“电脑”,”电话“などは入っていません。いずれにせよ、全単語について最低2つの例文が付いていて、なおかつ単なるアルファベット順ではなく品詞別になっているところは良いですが、CDが付いていないのは少し残念です。
文法書と対策本を兼ねて用いたのは南雲堂フェニックスの『中国語検定 合格への手引き』シリーズの4級と3級です。正直なところ、これさえ真面目に取り組んでおけばかなり余裕で試験に合格できると思います。構成としては両者ともに7章の文法解説+練習問題・文章題と中訳問題を含んだ総合練習問題・リスニング編・単語集が収録されています。文法事項については主に構文の視点からかなり独特な解説が為されてますが、取り扱っている範囲も例文も豊富で簡単な文法書の代わりと為り得るくらいです。リスニングについても本番の形式に近い問題が約10回分載っています。全体的に練習問題の難易度は実際の試験のそれよりも高めですが、これらの本を一通り終えた後には過去問の筆記問題が大分易しく感じられました。巻末の単語集も上記の単語帳を補完する意味で大いに役立ちました。
その後は適当に過去問題集を買って解き、いよいよ試験を受けに行った結果、リスニング95・筆記85と余裕の合格でした。ちなみに合格基準点は通常通りの各65点、平均点はそれぞれ60.6点・66.0点、合格率は35.7%でした。その後はというと、元々中国語を始めたからには中検2級ぐらいは取っておこうと思っていたのですが、大学でも中国語の授業は取らずにアラビア語を始めていたので結局は3級を取ってから遠ざかっていくばかりでした。それでもやはり中途半端感が拭えなかったので、今年の3月下旬にGoethe-Zertifikat C1を受けてから改めて2級を狙いに勉強し始めました。
まずは1年間の空白を埋めるべく、上記参考書の例文を改めて丸ごとノートに写して行くなどして単語と文法の復習をしました。私は語学だと殆どの場合検定を基準にして勉強してきているので、かなりの突貫工事となってしまい、辞書をいちいち引かないと新聞記事もニュースも理解できないくらいではどうしても使わなくなり簡単に忘れてしまいます。実際この時点で「“认为”ってなんだっけ?」というくらい、今思い返すと呆れ返るような状況でした。
その次に単語帳として用いたのはJリサーチ出版の『中国語単語スピードマスター 中級3000』です。この本は前半に名詞以外の品詞別に例文付きで単語が紹介されており、後半には分野別に34の短文とそれらの中に含まれる単語及び関連語(主に名詞)が紹介されており、最後には242の四字成語が収録されています。前後半それぞれ重複含めて1500単語あります。自分は結局前半部分しか勉強する時間が無かったのですが、動詞については2級で出てきそうな慣用句的語句が多々載っています。例えば“吃劳保”,“讲交情”,“唱高调”,“看人下菜”などです。ちゃんとCDも付録されますが、単語と日本語訳の読み上げなしに例文しか収録されていません。これについてはAmazonのレビューでも指摘されていますが、私は逆にリスニング対策としては有効だと思うので要は使いようの問題だと思います。
またかの有名な東進ブックスの『聴読中国語』も使い、20課まで本文を速読スピードで理解できるように何度も書き写したりCDを聞いたりしました。当初は全体をやり終える計画だったのですが、試験日には間に合わず。なんだか中途半端な対策ばかりですが、それでも上記の本のCDも聞き試験に挑むと、前半の短いやりとりのところはほぼ聞き取れ、長文も概ね回答に要する内容は把握できました。
筆記に関しては駿河台出版社の『中国語検定2級徹底攻略 −筆記完全マスター−』で対策しました。Amazonでも高評価の本ですが、実際に文法事項や類義語・多義語の紹介が豊富で、例文も充実しています。練習問題も本番の形式に大体対応しているので、表紙にある通り「筆記問題の対策はこれ1冊で完璧です」というのは嘘偽り無いと思います。ただこの本も結局最後までできず、8課ある内の6課までしかできませんでした。ちなみに他にも色々参考書を買っているのですがなかなか消費できませんでした。うーん、全く減価償却できてない。
ちなみにこれらと同時並行してネットで見つけた中国語の記事をノートに書き写しつつ辞書を使いながら読む、ということをやっていました。実を言うとこれが一番面白かったので最も時間を割いていました(笑)。なるべく多様な分野の記事を選ぶように心がけ、ソースも中国共産党系の人民网や环球网から取ってきたり、逆に反共産党のスタンスをとる大纪元からも抜き取りました。あとは通学時などに日中新聞ウェブ版の記事をスマホで読んでました。どうも新華社通信などの日本関連の記事を転載しているようで、たまにぶっ飛んだ内容の評論が掲載されていたりしますが、これはこれで楽しむべきかと。
このような対策をして試験の2週間前に過去問題集を買い、実際に一回分を解いてみました(第85回)。この回は合格基準点がリスニング・筆記ともに60点と低くなっていたのですが、リスニングは70点、日訳中訳30点分除いた筆記は50点とれていて、合格できそうな点でした。次に第86回のを解いてみたのですが、この時の合格基準点は通常通り双方70点だったのに、筆記は相変わらず同様の条件で52点。訳で30点中18点取れれば合格していたことになりますが、果たしてそれだけ取れるか微妙なところ。リスニングは相変わらず点がちゃんと取れていたので問題なし、ただし筆記は訳の問題を除いてできれば5問不正解の60点、最低でも10問不正解の50点は欲しい、といった心境で本番に挑みました。
そして迎えた当日は直前にとりあえず必ず問題が出されるであろう複文について復習し、試験会場に向かいました。リスニングは過去問と比べて難しくなく、せいぜい何問か回答に迷ったくらいでした。し・か・し、右斜め前に座っていた受験者が選択肢の読み上げの最中に「これは違う」とか呟やくんです。変に惑わすな馬鹿野郎。筆記の時ならともかくリスニング試験の最中に言葉を呟くなんて他の受験者に迷惑極まりない。ふざけてやがる。今考えたら隣に座ってた奴とグルだったのかな?受験番号と座席順なんて把握のしようがない筈だけど。
そして筆記試験の方ですが、こちらは特に大問4が簡単に感じられました。他はあまり過去問と変わりないような。ちなみに大問5の中訳は幸い訳せない語句は無かったのですが、何を血迷ってか「きょうの仕事は多すぎて」という所を“昨天的工作太多了“と書いてしまいました。他の言語ならともかく、「昨日・今日・明日」がまんま“昨天・今天・明天”と対応する中国語だというのに。まさか「きょう」と平仮名で書いたのはこういうケアレスミスを誘発する為だったのか!いや、そんな訳無い、私がヘマしただけですね。あとこれは疑問に思ったことなのですが、「ものは良いことは良いが」という所で私は「もの」が「品質」を意味すると解釈して“质量好是好”と訳したのですが、公式解答だと“东西”になってました。「ものはそりゃいいけどやっぱ高くね」とかと言った場合、普通「高品質なことはそうだけど...」という意味だと思うんですけれども。ここは減点されたのかな?
さて試験が終わった後は道に迷い渋谷のスクランブル交差点を丸々一周する羽目になったのですが、どうにか帰ってこれて自己採点してみるとリスニングはなんとたったの2問間違えの90点。そして筆記は訳30点分除いて5問間違えの60点。合格基準点が70点から跳ね上がることはまさか無いので、合格確定でした。こうなるとむしろ記入ミスしなかったか不安になるものですが、おととい試験結果が届き、リスニング90点・筆記86点で再び余裕の合格でした。日訳は10点中9点、中訳はあんな凡ミスを犯したにも拘らず20点中17点でした。訳の問題は採点が甘めなのは本当なのでしょうかね。ちなみに今回の2級の平均点はリスニング73.8点・筆記62.7点で、平均点は32.5%という近年稀に見る高さでした。ある意味運が良かったのかもしれません。
こうして無事中国語学習の目標だった2級が取れたのですが、前述の通りいくつか参考書が余ってしまったのと、未だに新聞記事が辞書無しではスラスラ読めなく、ましてやNHKワールドの中国語放送さえ全く聞き取れないので準1級目指して今も勉強中です。その内また合格記が投稿できたら、と思います。ではでは。
2016年7月21日木曜日
2016年4月3日日曜日
DALF C1・Goethe-Zertifikat C1合格
こんにちは。タイトル通りですが、前に話していたDALF C1とGoethe-Zertifikat C1に受かることができました。久々に試験の感想と対策について書いていきたいと思います。(長文注意!)
まずDALF C1ですが、こちらは去年の秋に受けてきました。確か仏検1級の2次試験の結果を待っている間に申し込みに行ったのだと思います。受けようと思った動機というのは、実は仏検1級の対策の際にDALFの参考書も使おうと思って買っておいたのですが、一切手をつけていなくて勿体無く思えたからです。もちろん仏検1級に受かってこのまま勢いに乗ってしまおうというのもありました。
ちなみにその参考書というのはDidierの"Réussir le Dalf"とCLE Internationalの"abc DALF C1/C2"です。どちらもC1・C2の両レベルをカバーしているのですが、後者はとにかく沢山の模擬問題を載せているのに対して、前者は試験を受ける際の戦略に重点を置いています。例えばCLEの方は各4科目に15個の模擬問題と模試が1回分あるのですが、Didierの方は問題が少ない代わりに読解だとまず600語の短いテキストから読ませる作りになっていたり、作文では要約問題とエッセーでどのように文章を組み立てるべきか詳しく解説してあります。理想としてはまずDidierの問題を解いて試験の形式に慣れてからCLEの本で出され得る様々な分野に於ける問題を解いてしまえばテストに万全の態勢で挑めるのでしょうが、残念ながら自分はCLEの問題を全部解けませんでした。良いことなのですがとにかく問題が多くて時間が無い。読解なんかに出てくる文章はどれも面白い内容なのですけれどもね。
試験の形式はと言いますと、聞き取り・読解・作文・口頭試問の4科目があり、各科目25点満点で合計100点満点、各科目最低5点以上かつ合計で50点以上で合格というのは他のレベルと変わりありません。聞き取りは2部に分かれていて、第1部は最大10分の議論・講演ないし会議の録音を2回聞き問題に答え、第2部はいくつかの短いラジオからの録音(ニュース・世論調査・広告など)を1回聞いて問題に答えることとなっています。点数配分は第1部の方が大きいので、合格点のことを考えるとこちらが勝負です。読解は1500-2000語のテキスト(普通のサイズのフォントでA4二枚~三枚)を読んで問題に答えます。時間は50分。文章の種類としては少し厄介な論説文が出やすいみたいです。作文は2~3個の短い新聞記事(合計1000語程度)を読んで、それら記事の要約と自分の意見を伝えるエッセーを書きます。時間は2時間半なのですが、書かなければいけない語数については参考書等でバラバラで、自分が受けた時は要約が220語前後、エッセーが250語以上だったと思います。そして口頭試問は全部でA4二枚程度の新聞記事2~3個を読み、その内容と自分の意見について10~15分間の発表と残り時間で試験官とのディベートを行います。準備が1時間、実際の試験が30分となっています。あと、作文と口頭試問については予め文系か理系かを選びます。自分は文系にしました。
準備の際は特に重視した科目はなく、まんべんなく参考書の問題を解いていました。自分にとっては聞き取りがとにかく鬼門ではあったのですが、壊滅的な点数をとらないくらいならいいだろうと開き直り、むしろ時間で言えば通っているフランス語教室のネイティブに頼んで作文と口頭試問を見てもらう方に集中してたかもしれません。あとやったこととしては毎日フランス語の放送を聞いたり記事を読むのは当然ですが、なるべく辞書なしに読もうと心がけました。この試験はとにかく読む箇所が多くてそれなりに難しい文章が出てくるので、わからない単語があっても読み飛ばすか前後の文脈で意味を推測するなどしていました。読解は50分しか時間がなくて出来るだけ速く読めないといけないですし(と、この時は思っていたのだが...)。
そうして受けてきた結果ですが、聞き取り11.00・読解21.00・作文11.50・口頭試問15.00の合計58.50で合格でした。実を言うと、口頭試問が終わった直後は受かったという感触がありました。というのも口頭試問は滞りなく出来たし、聞き取りと作文もとりあえず全部質問に答えたし、なにより読解の文章が使っていた参考書からしてあり得ないくらい簡単だったからです。当初は「A4三枚で50分はきついな〜」と思っていたのがいざ受けてみたら時間があまる始末。だってテーマが書籍の変遷みたいなかなり身近な内容で、papyrusって単語まで註釈が付いているんですよ。それでも4点落としている訳ですけど、どう考えてもB2の時の文章の方が難しかったと思うんですよね...
他の科目について言うと、少し後悔する点が2点あります。まず作文で要約を下書きしてから回答用紙に写し書きしたのですが、それでエッセーの方に時間を使えなくなり自分でも読み返してみて説得力の無い文章になってしまいました。メモ用紙は要点を記すことだけに使うべきかもしれません。あともう一つは口頭試問で少し冒険をしてしまったこと。自分のテーマは「なぜ子供に読書を奨める必要があるのか」だったのですが、「そんなの必要無い。読書しようと思えば読むさ」みたいなテーマに沿うどころか歯向かう発表を調子こいてしてしまいました。まあ本音を言ったまでなのですが、試験ということを考えると冒すことなかったですね。もう少し良い点がとれたかもしれません。
そしてDALFを受け終わった直後に次はドイツ語を再びやろうと思い、早速本屋に行ってGoethe-Institutが実施している試験の参考書を見に行きました。本当は去年に独検1級(とついでに露検1級も)受けるつもりだったのですが、結局フランス語に気を取られていて申し込めませんでした。
日本で受けられるドイツ語の検定試験というのはかなり種類があって、日本の法人が行っている独検の他にもドイツ政府の文化交流機関であるGoethe-Institutが取り仕切る試験や、そのオーストリア版であるÖSD(Österreichisches Sprachdiplom Deutsch)があります。独検は英検と似通っていて5級~1級までのレベルがあり、Goethe-InstitutのテストとÖSDのものはCEFRに準拠しています。ТРКИやDALF同様ÖSDはC1でオーストリア国内の全大学にドイツ語能力の証明として使えることとなっているのですがドイツの場合はいささか複雑で、B2~C1レベルの学術的なドイツ語に特化したDSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)かTestDaFという試験である程度の成績を残すことが基本的に求められるようです。大学によってはGoethe-Zertifikat C1の証明書を以てDSHないしTestDaFの受験を免除される場合があるのですが、C2でないと一切免除ということにはならないみたいです。
自分はドイツに留学するのもいいな、とも思いつつ直ぐに行くことはないのでとりあえずGoethe-InstitutのB2かC1を受けようと思っていました。ちなみにその時のドイツ語の学習状況はと言いますと、3年前に独検準1級を受けてから一切何もしておりません。たまにニュースを読むか大学のレポートでドイツ語の文献を探し当てるくらいでした。そんな私でもB2の問題はざっと見た限りあまり勉強しなくても受かりそうだったので、いっそのことC1を受けることとし、模擬試験が4回分と比較的多めに載っているCornelsen社の"Prüfungstraining Goethe-Zertifikat C1 (ZMP)"を買ってきました。ちなみにこのZMPというのはZentrale Mittelstufenprüfungの略で、2007年以前はこう呼んでいたそうです。名前が変わるに際して難易度も若干上がったみたいなのですが、ドイツではC1でも「中級試験」扱いなのですね。日本のInstitut françaisじゃsupérieurなんて偉そうな名前なんですがね(-_-;)。
こうしてドイツ語でもC1を目指して勉強することとしたのですが、実を言うと自分自身ドイツ語には変な苦手意識というものが(今でも)あって、ドイツ語が嫌いというよりはなかなか馴染めない。特に動詞の接頭辞が分離したり動詞に付くことで意味がガラリと変わってしまうとか、並列接続詞・従属接続詞・接続詞的副詞の違いが厄介だとか、なぜか機能動詞がドイツ語だと重要な文法のテーマになっていたりとか。言語に良し悪し無いのは百も承知ですが、なんだかこう、うん、やっぱりドイツ語嫌いあまり好きじゃない。ただやっぱり海外でロシア語・フランス語・ドイツ語に触れる機会があったことと、将来研究に使えそうな言葉ではあるので、やってやろうという気になりました。まあ一種の意地ですね。
3年間のブランクを埋めるべくまず手に取ったのは三修社の「ドイツ語できちんと書いてみる」という本。内容は枠構造・接続法・語順のルールなどといったそれほど難しく無い文法事項の説明に和訳問題がついている感じです。薄めの本ですがこういうのでもやらないと追っつかなかったのです。次に使ったのはベレ出版の「しっかり身につく中級ドイツ語トレーニングブック」。こちらは独検準一級レベルの文法を扱っている本で、とにかく書かせる練習問題が多いです。筆者が書いている通り「文を違うパターンで書き換え」られることが目標となっており、最後の方はDSHの文法問題を意識したdass副文・zu不定詞副文・動作名詞句同士の書き換え問題が収録されています。私は問題文と答えを全部ノートに書いて問題を解いていたのですが、これは後に試験の作文のところで非常に役立ったと思います。あとこの本で特筆すべきなのは456個の動詞+前置詞の組み合わせと同数の機能動詞のリストがあることです。私はこれらをノートにlingueeやtatoebaで見つけた例文と一緒にどんどん書いていきましたが、結果問題と合わせてB5ノートまるまる3冊使うこととなりました。これで自分のドイツ語慣用句辞典みたいなものが出来ましたし、実際のテストでもzur Verfügung stehenといった語句を問う問題が出てきたので、やってて良かったです。独検1級を受ける時にも役立ちそうですし。イチオシの本です。
文法については以上のような対策をしつつ、4ヶ月間は必ず毎日ドイツ語のニュースを読み聞きしていました。読むことについては当初はただの報道記事を読んでいましたが、次第に少し難しめの評論を読み始めました。特にZeit Onlineはある出来事についての事実関係だけでなく詳しい分析が絡んでいる記事が多く、かつたまにあるツッコミ的なコメントが面白いです。あとSpiegelの雑誌も買い(日本では高いですが)、頑張って一冊読みました。聞くことについては最初はDeutsche WelleのB2-C1学習者用のLangsam gesprochene Nachrichtenを聞いていたのですが、1.5倍の速さにしても大体分かるようになってからは同局のオンラインテレビを毎日2~3時間見ていました。結構面白い番組があって、特に見ごたえがあったのは第二次大戦後に西ドイツの司法当局が如何に戦争犯罪者に対して機能していなかったか、というドキュメンタリー番組です。なんと東ドイツが西ドイツに戦争犯罪者リストを提供するという提案を行っていただとか。ただ少し不満なのはスポーツのシーンでもないのによくニュース番組の途中で放送が遮られることです。残念ながら日中やっているニュース番組は見逃し視聴が出来なく、ドイツの深夜(=日本の早朝)にようやく本日のまとめ的なニュース番組が掲載されるので、そういう時はドイツ第一放送の方を見ていました。ちょうどヨーロッパが難民危機に揺れているので、今やEUの中心国であるドイツの視点からニュースを見るのは興味深かったです。
このように読解・聞き取り・文法の練習をしつつ3月末の試験に申し込み、試験の1ヶ月前に初めて読解と聞き取りの模擬問題を解いてみました。ここで試験の形式ですがDALF同様の4科目があり、読解は3部に分かれています。第1部では400語くらいの新聞記事と空欄付きの要約があり、空欄を埋めていきます。第2部では4つの固くない文章を読み提示された5つのテーマがどの文章で扱われているか引用と共に答えます。ここで厄介なのが10個答えがあるのですが、10個以上書いても回答用紙の上から10個までしか採点されないのでパズルを解くみたいによく考えさせられることです。第3部は短い新聞記事の穴埋め選択式問題です。前置詞や代名詞を問うものもあれば語彙(例えばtreiben/führen/folgenから選べなど)の知識を試させられるのもあります。聞き取りは2部あり、第1部は電話の会話を1回だけ聞いて記述式の問題に答えるもの、第2部はインタビューを2回(2回目は録音が3つに分けられる)聞いて選択式の問題に答えます。この試験も各科目25点で合計100点満点なのですが、合格には読解・聞き取り・作文で45点以上及び口頭試問で15点以上が必要となります。
実際に読解と聞き取りを解いてみるとそれぞれ20点とれそう、案外簡単かも、だなんて思っていたのですがよくよく考えてみると自分はもうかれこれ5年間ドイツ人と話したことなど殆どない。海外の学校でA1相当の授業を1年間受けてからは独検の2次試験の試験官としか話したことがない。しかも合格には口頭試問で6割取らなきゃいけない。一応ТРКИの第2レベル(B2)までは完全独学で受かりましたが、今回はC1。ここで危機感に苛まれますが、気を取り直して作文の練習。作文は2部あり、提示されたグラフを基に200語以上のエッセーを書くのと、くだけた友達へのメールを読んで別な関連する内容のお固いメールの記述式穴埋め問題に答えることとなっています。後者は読解の第1部と似ててかつそれほど難しくないのですが、配点が5しかないので必然的に前者のエッセーが重要となります。いくつか実際に自分で書いてみたのですが、この時心がけたのは2つ。まず指示された5つの点については全部書くこと。これで4点もらえます。あとは構成について予めパターンを考えておくこと。採点基準では文章構成・結束性が5点満点で問われるので、私の場合は導入+5つの指示された点+結論の7段落で書くことにし、かつ各段落の冒頭で使いそうな語句を覚えておきました。例えば導入にはMeine Arbeit behandelt das Thema...、日本について語る時にはIn meinem Heimatland Japan...とかといった具合です。
そうこうして作文については充分な量を時間内に書けるくらいにはなり、1週間前(!)に重い腰を上げて口頭試問の練習をしたのですが...喋れない!口頭試問は最初に提示されたテーマについて3~4分間のスピーチ、その後にもう1人の受験者と会話をします。自分で練習出来るのはつまり最初のスピーチのみだったのですが、実際やってみると酷い。一応15分の準備時間があるので、タイマーをセットして紙にスピーチのメモをし、携帯で録音しながら話すということをやったのですが、最初の時は本当に酷かったものです。要点はメモしているのに言葉がなかなか出ない。スピーチが2分半で終わってしまうと思ったらもう1回やってみると話すのが遅すぎて7分もくっちゃべってる。一応同じ模擬問題を繰り返してやって、ある程度パターンを覚えて、また次の問題をやっていくと最後の方にはそれっぽいスピーチをしているがつっかえているし副文が出来てないし...。こんなんで6割取れるのか、と思いきやもう試験直前。今更ながら全くドイツ語で話す機会を作らなかったことに後悔するのでありました。
そして試験当日。読解・聞き取りは自分の買った模擬問題集よりも難しくギリギリ6割くらいしか取れないと感じましたが、作文は上記の対策でチョンボしていない筈。ただ他の採点項目である語彙の豊富さと文法はネイティブに練習した作文を見てもらっているわけではないので点を落とすかも、といった心境です。そして昼休みを挟んでの口頭試問。テーマとして私が模擬問題集から想定していたのは環境問題とか住居の問題のような身近な話題だったのですが、出されたのがあの有名な諺"Reden ist Silber, Schweigen ist Gold(雄弁は銀、沈黙は金)"についてどう思うか、という全く考えてもみなかったテーマ。この諺は聞いたこともあるし意味もそのままだろうと思い、とりあえず苦しみ紛れにスピーチのメモを書いていくと問題用紙の取り扱うべきポイントに「どのような状況で人は真実を話すことを避けるべきか」とある。あれ、この諺って「嘘も方便」って意味だったの?しゃーない、そういうことにしよう!とメモを書き直し、あっという間に準備時間が過ぎる。そして本番のスピーチでは初っ端から"Schweigen ist Geld(沈黙は金銭)"と間違える爆笑ものだったのですが、とりあえず挙げられたポイントについては触れてそれっぽいスピーチは出来ました。C1にもなってそれっぽいでいいのかな(^_^;)。その後の会話ですが、相手の方はドイツ語がとても上手であったこともあり難なく出来た模様。もっとも私の方が1回「?」となり会話を遮ってしまいましたが。
こうして試験は終わったのですが、DALFの時みたいな余裕は無いにせよ6割はとれているチャンスはあるのではないかと思っていました。随分遠回しな表現ですね(笑)。ちなみにGoethe-Institutの試験はなんと5-10日以内に結果がインターネットで公表されることとなっており、これは私が今まで受けてきた試験で最速です。証明書は2-3週間後に来るという迅速さ。どこかのフランスの試験とは違いますね。ТРКИでさえ早い時は1ヶ月半で結果と証明書が来たのに、未だにDALFは証明書が来ません(^o^;)。
そして結果が開示されたのが4月1日なのですが、なんと合格でした。それも予想外の点。受かっててもギリギリ6割だと思っていたのですが...。まず読解が18.5点、聞き取りが14.5点。どちらも本番では難しいと感じていたので、こんなものでしょう。お次は作文が24点。え、これってほぼ満点じゃんwww多分穴埋めで点落としてるからエッセー満点じゃんwww一切ネイティブに添削とかしてもらってないのにwww採点甘いんじゃねwww。そして問題の口頭試問が22.5点。9割とかwww分かったエイプリルフールだwww。というわけで筆記57点+口頭試問22.5点の合計79.5点で余裕の合格。今見てみても同じ結果が出てくるので嘘ではないようです。むしろあとたった0.5点で成績がbefriedigend(良)からgut(優)になってました。いや、嬉しいですけど...なんで完全独学でやって圧倒的にアウトプットの方が成績良いんですかね...。それに何でドイツ語の検定試験ばかり成績が良いんですかね...。
何であれともかく、冬休みを丸々ドイツ語に注ぎ込んだ成果が形となりました。実際、試験の勉強は別にしても前よりも格段にドイツ語の文章を読んだりテレビを聞くことが出来るようになって、その面ではロシア語とフランス語と変わらないくらいになったと思います。そしてとうとう露仏独でC1がとれました。スイスの学校でフランス語とドイツ語の授業を少し取り、たまたまロシア語を話す連中と仲良くなってロシア語をやり出し、日本に帰ってきてから本格的に勉強する気になった当時としては考えられなかったことです。何せ仮にでもこれら国々の大学や大学院に入れる可能性を得たのですから。元々はせっかく向こうで学んできたのだから忘れないでおこうと始めたことで、大した動機でもないのですが何だか惰性でここまで来てしまいました。もっとも最近自分は将来研究したいテーマがあり、これら言語を使うことがあるやもしれないというのも少しずつモチベーションとしては割合を占めていきました。せっかくですから、金さえあれば留学でもしてみたいものです。
というわけで長々とした投稿を書いてしまったのですが、露仏独でC1が取れた記念に自分も興味があるのでCEFRについてもっと勉強して今度はこれら試験の比較について書いてゆきたいと思います。ちなみに今は中検3級止まりの中国語を再びやろうかと考えているところです。あと今年こそ独検1級と露検1級も受けてみましょうかね。
まずDALF C1ですが、こちらは去年の秋に受けてきました。確か仏検1級の2次試験の結果を待っている間に申し込みに行ったのだと思います。受けようと思った動機というのは、実は仏検1級の対策の際にDALFの参考書も使おうと思って買っておいたのですが、一切手をつけていなくて勿体無く思えたからです。もちろん仏検1級に受かってこのまま勢いに乗ってしまおうというのもありました。
ちなみにその参考書というのはDidierの"Réussir le Dalf"とCLE Internationalの"abc DALF C1/C2"です。どちらもC1・C2の両レベルをカバーしているのですが、後者はとにかく沢山の模擬問題を載せているのに対して、前者は試験を受ける際の戦略に重点を置いています。例えばCLEの方は各4科目に15個の模擬問題と模試が1回分あるのですが、Didierの方は問題が少ない代わりに読解だとまず600語の短いテキストから読ませる作りになっていたり、作文では要約問題とエッセーでどのように文章を組み立てるべきか詳しく解説してあります。理想としてはまずDidierの問題を解いて試験の形式に慣れてからCLEの本で出され得る様々な分野に於ける問題を解いてしまえばテストに万全の態勢で挑めるのでしょうが、残念ながら自分はCLEの問題を全部解けませんでした。良いことなのですがとにかく問題が多くて時間が無い。読解なんかに出てくる文章はどれも面白い内容なのですけれどもね。
試験の形式はと言いますと、聞き取り・読解・作文・口頭試問の4科目があり、各科目25点満点で合計100点満点、各科目最低5点以上かつ合計で50点以上で合格というのは他のレベルと変わりありません。聞き取りは2部に分かれていて、第1部は最大10分の議論・講演ないし会議の録音を2回聞き問題に答え、第2部はいくつかの短いラジオからの録音(ニュース・世論調査・広告など)を1回聞いて問題に答えることとなっています。点数配分は第1部の方が大きいので、合格点のことを考えるとこちらが勝負です。読解は1500-2000語のテキスト(普通のサイズのフォントでA4二枚~三枚)を読んで問題に答えます。時間は50分。文章の種類としては少し厄介な論説文が出やすいみたいです。作文は2~3個の短い新聞記事(合計1000語程度)を読んで、それら記事の要約と自分の意見を伝えるエッセーを書きます。時間は2時間半なのですが、書かなければいけない語数については参考書等でバラバラで、自分が受けた時は要約が220語前後、エッセーが250語以上だったと思います。そして口頭試問は全部でA4二枚程度の新聞記事2~3個を読み、その内容と自分の意見について10~15分間の発表と残り時間で試験官とのディベートを行います。準備が1時間、実際の試験が30分となっています。あと、作文と口頭試問については予め文系か理系かを選びます。自分は文系にしました。
準備の際は特に重視した科目はなく、まんべんなく参考書の問題を解いていました。自分にとっては聞き取りがとにかく鬼門ではあったのですが、壊滅的な点数をとらないくらいならいいだろうと開き直り、むしろ時間で言えば通っているフランス語教室のネイティブに頼んで作文と口頭試問を見てもらう方に集中してたかもしれません。あとやったこととしては毎日フランス語の放送を聞いたり記事を読むのは当然ですが、なるべく辞書なしに読もうと心がけました。この試験はとにかく読む箇所が多くてそれなりに難しい文章が出てくるので、わからない単語があっても読み飛ばすか前後の文脈で意味を推測するなどしていました。読解は50分しか時間がなくて出来るだけ速く読めないといけないですし(と、この時は思っていたのだが...)。
そうして受けてきた結果ですが、聞き取り11.00・読解21.00・作文11.50・口頭試問15.00の合計58.50で合格でした。実を言うと、口頭試問が終わった直後は受かったという感触がありました。というのも口頭試問は滞りなく出来たし、聞き取りと作文もとりあえず全部質問に答えたし、なにより読解の文章が使っていた参考書からしてあり得ないくらい簡単だったからです。当初は「A4三枚で50分はきついな〜」と思っていたのがいざ受けてみたら時間があまる始末。だってテーマが書籍の変遷みたいなかなり身近な内容で、papyrusって単語まで註釈が付いているんですよ。それでも4点落としている訳ですけど、どう考えてもB2の時の文章の方が難しかったと思うんですよね...
他の科目について言うと、少し後悔する点が2点あります。まず作文で要約を下書きしてから回答用紙に写し書きしたのですが、それでエッセーの方に時間を使えなくなり自分でも読み返してみて説得力の無い文章になってしまいました。メモ用紙は要点を記すことだけに使うべきかもしれません。あともう一つは口頭試問で少し冒険をしてしまったこと。自分のテーマは「なぜ子供に読書を奨める必要があるのか」だったのですが、「そんなの必要無い。読書しようと思えば読むさ」みたいなテーマに沿うどころか歯向かう発表を調子こいてしてしまいました。まあ本音を言ったまでなのですが、試験ということを考えると冒すことなかったですね。もう少し良い点がとれたかもしれません。
そしてDALFを受け終わった直後に次はドイツ語を再びやろうと思い、早速本屋に行ってGoethe-Institutが実施している試験の参考書を見に行きました。本当は去年に独検1級(とついでに露検1級も)受けるつもりだったのですが、結局フランス語に気を取られていて申し込めませんでした。
日本で受けられるドイツ語の検定試験というのはかなり種類があって、日本の法人が行っている独検の他にもドイツ政府の文化交流機関であるGoethe-Institutが取り仕切る試験や、そのオーストリア版であるÖSD(Österreichisches Sprachdiplom Deutsch)があります。独検は英検と似通っていて5級~1級までのレベルがあり、Goethe-InstitutのテストとÖSDのものはCEFRに準拠しています。ТРКИやDALF同様ÖSDはC1でオーストリア国内の全大学にドイツ語能力の証明として使えることとなっているのですがドイツの場合はいささか複雑で、B2~C1レベルの学術的なドイツ語に特化したDSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)かTestDaFという試験である程度の成績を残すことが基本的に求められるようです。大学によってはGoethe-Zertifikat C1の証明書を以てDSHないしTestDaFの受験を免除される場合があるのですが、C2でないと一切免除ということにはならないみたいです。
自分はドイツに留学するのもいいな、とも思いつつ直ぐに行くことはないのでとりあえずGoethe-InstitutのB2かC1を受けようと思っていました。ちなみにその時のドイツ語の学習状況はと言いますと、3年前に独検準1級を受けてから一切何もしておりません。たまにニュースを読むか大学のレポートでドイツ語の文献を探し当てるくらいでした。そんな私でもB2の問題はざっと見た限りあまり勉強しなくても受かりそうだったので、いっそのことC1を受けることとし、模擬試験が4回分と比較的多めに載っているCornelsen社の"Prüfungstraining Goethe-Zertifikat C1 (ZMP)"を買ってきました。ちなみにこのZMPというのはZentrale Mittelstufenprüfungの略で、2007年以前はこう呼んでいたそうです。名前が変わるに際して難易度も若干上がったみたいなのですが、ドイツではC1でも「中級試験」扱いなのですね。日本のInstitut françaisじゃsupérieurなんて偉そうな名前なんですがね(-_-;)。
こうしてドイツ語でもC1を目指して勉強することとしたのですが、実を言うと自分自身ドイツ語には変な苦手意識というものが(今でも)あって、
3年間のブランクを埋めるべくまず手に取ったのは三修社の「ドイツ語できちんと書いてみる」という本。内容は枠構造・接続法・語順のルールなどといったそれほど難しく無い文法事項の説明に和訳問題がついている感じです。薄めの本ですがこういうのでもやらないと追っつかなかったのです。次に使ったのはベレ出版の「しっかり身につく中級ドイツ語トレーニングブック」。こちらは独検準一級レベルの文法を扱っている本で、とにかく書かせる練習問題が多いです。筆者が書いている通り「文を違うパターンで書き換え」られることが目標となっており、最後の方はDSHの文法問題を意識したdass副文・zu不定詞副文・動作名詞句同士の書き換え問題が収録されています。私は問題文と答えを全部ノートに書いて問題を解いていたのですが、これは後に試験の作文のところで非常に役立ったと思います。あとこの本で特筆すべきなのは456個の動詞+前置詞の組み合わせと同数の機能動詞のリストがあることです。私はこれらをノートにlingueeやtatoebaで見つけた例文と一緒にどんどん書いていきましたが、結果問題と合わせてB5ノートまるまる3冊使うこととなりました。これで自分のドイツ語慣用句辞典みたいなものが出来ましたし、実際のテストでもzur Verfügung stehenといった語句を問う問題が出てきたので、やってて良かったです。独検1級を受ける時にも役立ちそうですし。イチオシの本です。
文法については以上のような対策をしつつ、4ヶ月間は必ず毎日ドイツ語のニュースを読み聞きしていました。読むことについては当初はただの報道記事を読んでいましたが、次第に少し難しめの評論を読み始めました。特にZeit Onlineはある出来事についての事実関係だけでなく詳しい分析が絡んでいる記事が多く、かつたまにあるツッコミ的なコメントが面白いです。あとSpiegelの雑誌も買い(日本では高いですが)、頑張って一冊読みました。聞くことについては最初はDeutsche WelleのB2-C1学習者用のLangsam gesprochene Nachrichtenを聞いていたのですが、1.5倍の速さにしても大体分かるようになってからは同局のオンラインテレビを毎日2~3時間見ていました。結構面白い番組があって、特に見ごたえがあったのは第二次大戦後に西ドイツの司法当局が如何に戦争犯罪者に対して機能していなかったか、というドキュメンタリー番組です。なんと東ドイツが西ドイツに戦争犯罪者リストを提供するという提案を行っていただとか。ただ少し不満なのはスポーツのシーンでもないのによくニュース番組の途中で放送が遮られることです。残念ながら日中やっているニュース番組は見逃し視聴が出来なく、ドイツの深夜(=日本の早朝)にようやく本日のまとめ的なニュース番組が掲載されるので、そういう時はドイツ第一放送の方を見ていました。ちょうどヨーロッパが難民危機に揺れているので、今やEUの中心国であるドイツの視点からニュースを見るのは興味深かったです。
このように読解・聞き取り・文法の練習をしつつ3月末の試験に申し込み、試験の1ヶ月前に初めて読解と聞き取りの模擬問題を解いてみました。ここで試験の形式ですがDALF同様の4科目があり、読解は3部に分かれています。第1部では400語くらいの新聞記事と空欄付きの要約があり、空欄を埋めていきます。第2部では4つの固くない文章を読み提示された5つのテーマがどの文章で扱われているか引用と共に答えます。ここで厄介なのが10個答えがあるのですが、10個以上書いても回答用紙の上から10個までしか採点されないのでパズルを解くみたいによく考えさせられることです。第3部は短い新聞記事の穴埋め選択式問題です。前置詞や代名詞を問うものもあれば語彙(例えばtreiben/führen/folgenから選べなど)の知識を試させられるのもあります。聞き取りは2部あり、第1部は電話の会話を1回だけ聞いて記述式の問題に答えるもの、第2部はインタビューを2回(2回目は録音が3つに分けられる)聞いて選択式の問題に答えます。この試験も各科目25点で合計100点満点なのですが、合格には読解・聞き取り・作文で45点以上及び口頭試問で15点以上が必要となります。
実際に読解と聞き取りを解いてみるとそれぞれ20点とれそう、案外簡単かも、だなんて思っていたのですがよくよく考えてみると自分はもうかれこれ5年間ドイツ人と話したことなど殆どない。海外の学校でA1相当の授業を1年間受けてからは独検の2次試験の試験官としか話したことがない。しかも合格には口頭試問で6割取らなきゃいけない。一応ТРКИの第2レベル(B2)までは完全独学で受かりましたが、今回はC1。ここで危機感に苛まれますが、気を取り直して作文の練習。作文は2部あり、提示されたグラフを基に200語以上のエッセーを書くのと、くだけた友達へのメールを読んで別な関連する内容のお固いメールの記述式穴埋め問題に答えることとなっています。後者は読解の第1部と似ててかつそれほど難しくないのですが、配点が5しかないので必然的に前者のエッセーが重要となります。いくつか実際に自分で書いてみたのですが、この時心がけたのは2つ。まず指示された5つの点については全部書くこと。これで4点もらえます。あとは構成について予めパターンを考えておくこと。採点基準では文章構成・結束性が5点満点で問われるので、私の場合は導入+5つの指示された点+結論の7段落で書くことにし、かつ各段落の冒頭で使いそうな語句を覚えておきました。例えば導入にはMeine Arbeit behandelt das Thema...、日本について語る時にはIn meinem Heimatland Japan...とかといった具合です。
そうこうして作文については充分な量を時間内に書けるくらいにはなり、1週間前(!)に重い腰を上げて口頭試問の練習をしたのですが...喋れない!口頭試問は最初に提示されたテーマについて3~4分間のスピーチ、その後にもう1人の受験者と会話をします。自分で練習出来るのはつまり最初のスピーチのみだったのですが、実際やってみると酷い。一応15分の準備時間があるので、タイマーをセットして紙にスピーチのメモをし、携帯で録音しながら話すということをやったのですが、最初の時は本当に酷かったものです。要点はメモしているのに言葉がなかなか出ない。スピーチが2分半で終わってしまうと思ったらもう1回やってみると話すのが遅すぎて7分もくっちゃべってる。一応同じ模擬問題を繰り返してやって、ある程度パターンを覚えて、また次の問題をやっていくと最後の方にはそれっぽいスピーチをしているがつっかえているし副文が出来てないし...。こんなんで6割取れるのか、と思いきやもう試験直前。今更ながら全くドイツ語で話す機会を作らなかったことに後悔するのでありました。
そして試験当日。読解・聞き取りは自分の買った模擬問題集よりも難しくギリギリ6割くらいしか取れないと感じましたが、作文は上記の対策でチョンボしていない筈。ただ他の採点項目である語彙の豊富さと文法はネイティブに練習した作文を見てもらっているわけではないので点を落とすかも、といった心境です。そして昼休みを挟んでの口頭試問。テーマとして私が模擬問題集から想定していたのは環境問題とか住居の問題のような身近な話題だったのですが、出されたのがあの有名な諺"Reden ist Silber, Schweigen ist Gold(雄弁は銀、沈黙は金)"についてどう思うか、という全く考えてもみなかったテーマ。この諺は聞いたこともあるし意味もそのままだろうと思い、とりあえず苦しみ紛れにスピーチのメモを書いていくと問題用紙の取り扱うべきポイントに「どのような状況で人は真実を話すことを避けるべきか」とある。あれ、この諺って「嘘も方便」って意味だったの?しゃーない、そういうことにしよう!とメモを書き直し、あっという間に準備時間が過ぎる。そして本番のスピーチでは初っ端から"Schweigen ist Geld(沈黙は金銭)"と間違える爆笑ものだったのですが、とりあえず挙げられたポイントについては触れてそれっぽいスピーチは出来ました。C1にもなってそれっぽいでいいのかな(^_^;)。その後の会話ですが、相手の方はドイツ語がとても上手であったこともあり難なく出来た模様。もっとも私の方が1回「?」となり会話を遮ってしまいましたが。
こうして試験は終わったのですが、DALFの時みたいな余裕は無いにせよ6割はとれているチャンスはあるのではないかと思っていました。随分遠回しな表現ですね(笑)。ちなみにGoethe-Institutの試験はなんと5-10日以内に結果がインターネットで公表されることとなっており、これは私が今まで受けてきた試験で最速です。証明書は2-3週間後に来るという迅速さ。どこかのフランスの試験とは違いますね。ТРКИでさえ早い時は1ヶ月半で結果と証明書が来たのに、未だにDALFは証明書が来ません(^o^;)。
そして結果が開示されたのが4月1日なのですが、なんと合格でした。それも予想外の点。受かっててもギリギリ6割だと思っていたのですが...。まず読解が18.5点、聞き取りが14.5点。どちらも本番では難しいと感じていたので、こんなものでしょう。お次は作文が24点。え、これってほぼ満点じゃんwww多分穴埋めで点落としてるからエッセー満点じゃんwww一切ネイティブに添削とかしてもらってないのにwww採点甘いんじゃねwww。そして問題の口頭試問が22.5点。9割とかwww分かったエイプリルフールだwww。というわけで筆記57点+口頭試問22.5点の合計79.5点で余裕の合格。今見てみても同じ結果が出てくるので嘘ではないようです。むしろあとたった0.5点で成績がbefriedigend(良)からgut(優)になってました。いや、嬉しいですけど...なんで完全独学でやって圧倒的にアウトプットの方が成績良いんですかね...。それに何でドイツ語の検定試験ばかり成績が良いんですかね...。
何であれともかく、冬休みを丸々ドイツ語に注ぎ込んだ成果が形となりました。実際、試験の勉強は別にしても前よりも格段にドイツ語の文章を読んだりテレビを聞くことが出来るようになって、その面ではロシア語とフランス語と変わらないくらいになったと思います。そしてとうとう露仏独でC1がとれました。スイスの学校でフランス語とドイツ語の授業を少し取り、たまたまロシア語を話す連中と仲良くなってロシア語をやり出し、日本に帰ってきてから本格的に勉強する気になった当時としては考えられなかったことです。何せ仮にでもこれら国々の大学や大学院に入れる可能性を得たのですから。元々はせっかく向こうで学んできたのだから忘れないでおこうと始めたことで、大した動機でもないのですが何だか惰性でここまで来てしまいました。もっとも最近自分は将来研究したいテーマがあり、これら言語を使うことがあるやもしれないというのも少しずつモチベーションとしては割合を占めていきました。せっかくですから、金さえあれば留学でもしてみたいものです。
というわけで長々とした投稿を書いてしまったのですが、露仏独でC1が取れた記念に自分も興味があるのでCEFRについてもっと勉強して今度はこれら試験の比較について書いてゆきたいと思います。ちなみに今は中検3級止まりの中国語を再びやろうかと考えているところです。あと今年こそ独検1級と露検1級も受けてみましょうかね。
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